網引町内の名もなき溜池で営巣するバンの観察



兵庫県加西市の網引湿原はよく紹介されている第一湿原、第二湿原のみならず、保護地に指定されている空間が南網引町内周辺に点在していますが、その中を幹線道路の県道79号線が通っているので人間環境と近接している場所でもあります。
兵庫県内に溜池は38234ヶ所あり日本全国の19%にあたります。その多くは利水目的のためにコンクリートで周囲を固められてしまい、生き物が生息地として好むヨシやガマなど水際に生える草地はけして多くはないのですが、加西市内の池にはヨシ原を残しているところもあり、その中の一つが名もなきこの池です。

ヨシ原で営巣し繁殖するバンとカイツブリはともに古来より日本各地で見られ、季語として俳句や短歌にも読まれる身近な鳥ですが、見つけるのが意外と難しくなかなか馴染みがない鳥でもあります。
隣の新池のカイツブリを半年ほど観察していたものの、ツガイの相方が姿を消し、残った親から成長した子供たちは追い出されてしまっているので、この池での観察に切り替えたところ、偶然営巣しているバンを発見しました。
池の周囲を走る狭い道路から対岸30m位の距離に営巣しているため足場もよく視界も開けているので観察及び撮影しやすく、更に幸運なことに”ご近所の”カイツブリがかなり接近しても警戒はしても追い払うようなことはせず、このビデオのようなシーンも観察できました。
巣の周りのデッキ部分はやがて孵化するバンの子どもたちの当面の遊び場になるでしょう。バンもカイツブリと同様に成鳥になる確率が低いということですが、この巣の周囲にいるカイツブリはほぼ同じ大きさの子供が5羽確認できましたので、生息環境としては極めて良好と言えるのかもしれません。

コメント