2021/1 長倉池はかいぼり中


 堤防部分が少ないうえコンクリートを使われていないため農業用ため池としては浅く広い天然の湿地帯に近い環境の兵庫県加西市・長倉池.この地域のコハクチョウをはじめとする冬の渡り鳥たちの渡来地のひとつでもあり,時々コウノトリも姿を見せるが,今冬は渇水状態が続けられている.

1月末には各地で野焼きが行われて枯れたヨシやガマの群落が芽吹きの準備に入るが,長倉池はすでに焼かれたあとで,山側にイノシシ対策の防護柵設置工事を行っている最中.水鳥といえばコハクチョウどころかアオサギを見かけた程度で,野鳥撮影趣味の皆さんの姿はなく,静かな日曜の午後に岸辺を散策してみた.

冬鳥たちが去った春から夏にかけてはクサガメやイチョウウキゴケなどの希少種が姿を見せるが,カメは地中で冬眠,イチョウウキゴケは胞子状態で越冬中.干上がりかけた池の底で動くものといえば,行水するスズメと何かをついばむハクセキレイやセグロセキレイくらい.ぬかるむこともなさそうなので長靴でもないのに池内に歩を進めると,体長20cm近いアメリカザリガニの遺骸やイシガイ,オオタニシと思われる淡水性の貝類の殻が至るところにある.

アメリカザリガニ その1

アメリカザリガニ その2

オオタニシ?

イシガイ?その1
山側の側道に落ちていた

イシガイ?その2
池の底にて

イシガイ?その3
道路側の畑の中

これらの底生生物は冬季や渇水時には卵の状態でやり過ごし,暖かくなって水位が上昇してきたら孵化してまさしく我が世の春を謳歌するので,人為的な生息域の撹乱による局所的な絶滅は人間環境下の自然においては数百年繰り返されており,そのサイクルに適応することで世代をつないできた種が現存していると考えられる.



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